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  • 執筆者の写真ykosuge

北欧のシアワセを、糸で紡ぐ。(3)

更新日:2019年4月12日


〜フィンランド在住

テキスタイルアーティスト Aoiさんが

タペストリーで織りなす

「シアワセな瞬間」とは?〜




第三話

『Aoiさんの『シアワセの瞬間』を捉えた北欧タペストリー。』



フィンランドの首都ヘルシンキより

ボートで海を渡りたどり着いた

芸術家の島、ハラッカ島。


私たちが今回ご縁をいただいた

テキスタイルアーティスト

Aoiさんのアトリエも

ここハラッカ島の

アートスタジオにありました。


スタジオのなかに

一歩足を踏み入れると

心地よいピアノの音色が

聞こえてきます。


どうやらあるアーティストさんは

ピアノをゆったり弾きながら

ひとやすみ中。


白を基調とした大きな廊下には

小さなアトリエへの扉がつづきます。



こちらがAoiさんのアトリエへの扉。

早速、おじゃまします。




最初に目を引かれたのは

Aoiさんの作業テーブルに飾られた

色とりどりの

テキスタイルや毛糸たち。


これらは制作過程でつくられた

縮小版デモ作品の数々だそう。


一つ一つの無造作に置かれた糸や

ボードに貼られたテキスタイルたちも


まるで北欧インテリアのように

自然にこの空間に馴染んでいます。


「北欧のシアワセ、お届け計画」の

コラボパートナーであるAoiさん。


彼女はここフィンランドで

どんな素敵なアート作品を

プロデュースしているのでしょうか。



Aoi(吉澤 葵 よしざわ あおい)さんは

フィンランド ヘルシンキで活躍中の

テキスタイルアーティスト

兼テキスタイルデザイナーです。


東京生まれのAoiさんの

「北欧」との初めての出会いは

大学時代に交換留学で訪れた

スウェーデンの田舎町

ウプサラでの暮らしでした。



『力まなくていい、カジュアルな北欧の暮らしが好きなんです。』



日々が慌ただしく過ぎていた

東京での生活では得られなかった

小気味よい時間の流れと

日々の暮らしの心地よさ。


友人とおしゃべりをする時間でさえ

詰め詰めのスケジュールに

押し込まないといけないような

心のどこかに緊張感を抱えた生活は

ここ北欧には、ありませんでした。



そんな北欧の暮らしに

心惹かれたAoiさんは

子どもの頃から絵を書いたり

ものづくりが好きだったことから

再度スウェーデンで

アートを学ぶことを決意。


そこで出会った先生に

テキスタイルアートを勧められ

隣国のノルウェーに留学。


視覚芸術やデザイン教育に優れた

ノルウェーの二大国立芸術大学の一つ

ベルゲン国立芸術大学で

美術学士を取得します。


更にそこから

テキスタイルデザインに興味を引かれ

ここフィンランドに留学することに。


アート・デザイン部門の

世界大学ランキングでは7位に輝く

フィンランドの有名な超名門大学

アアルト大学院のデザイン学部

テキスタイルデザイン専攻を卒業。 


北欧デザイン世界の最先端で

幅広くテキスタイルを学んだ彼女は

テキスタイルアーティスト

兼テキスタイルデザイナーとして


最高品質のリネンで有名な

老舗テキスタイルメーカー

LAPUANKANKURIT

(ラプアン・カンクリ)や

モダンなデザインで注目を浴びる

ストックホルム生まれの

老舗ファッションブランド

Tiger of Sweden

(タイガー・オブ・スウェーデン)

など


北欧の様々な有名デザインメーカーに

デザインパターンを提供したり

日本やフィンランドで

個人展を開催したりと


デザインの本場、ここ北欧で

ますます活躍されています。


(昨年の夏に東京のCASE GALLERYで開かれた個人展の様子。)


『北欧の小さなシアワセを

日本で暮らす皆さんにも届けたい』


そんな想いを持った私たちが

Aoiさんのアート作品を通して

シアワセを贈りたいと考えた理由は


彼女がここフィンランドで

『瞬間アーティスト』

と呼ばれている背景にありました。


「瞬間」とは? 


それはAoiさんが

北欧の日々の暮らしの中で見つけた

「シアワセを感じた瞬間」。


フィンランドの伝統的な織物

「ラーヌ織」という手法で

手織り機で一本一本の糸を

丁寧に織り込んでゆき


彼女が実際に目にした

「シアワセの瞬間」を

抽象画として

作品に映しだしています。



彼女が目にしたシアワセの「瞬間」。


それは、例えば、「朝日の瞬間」。


ある夏のこと。


Aoiさんは愛するパートナーと共に

フィンランドの古都トゥルクの

海に拡がる美しい群島へ

キャンプをしに行くことに。


フィンンランドで

人が一年中住んでいる島としては

最南にあると言われている

「ウト島(Utö)」より

爽やかな早朝の海を

船で帰っているところでした。


船のデッキにコーヒーを片手に

ゆったりと腰掛けた彼女の

目の前に広がっていた光景は

この静かな海に浮かぶ

あたたかな朝日でした。



この北欧の自然が生み出す

「瞬間」こそが

Aoiさんの作品への

大きなインスピレーションです。



Aoiさんはまず

このシアワセの瞬間を構成している

自然界の様々な『色』を集めます。


あの瞬間を様々な色の糸の

絶妙な混ぜあいで表現するため

A4サイズほどの

この小さな手織り機で

縮小版サンプルを作成。


納得するまで、何度も、何度も。


彼女が感じた

シアワセの瞬間を表現する

絶妙な色合いになるまで

一本一本の色の

微妙な調整の繰り返しです。



納得のゆくデモ作品を

ついに作り上げると

この手織り機で作品を織り始めます。



Aoiさんの作品は

フィンランドの伝統的織物

「ラーヌ織り」と呼ばれるもの。


タテ糸が見えなくなるまで

ヨコ糸を一本一本

しっかりと手織りで

打ち込んでゆきます。


デモ作品の過程で生み出した

ヨコ糸の絶妙な色の構成で

デザインを表現していきます。


ラーヌ織りは

バッグや敷物に向いている

と言われるように

生地が型崩れしないように

しっかりと力強く織り込んでいくので


とても時間のかかる

丁寧な作業を求められる織物の一つ。


幾度にも渡る「瞬間」の色集めと

織り込み加減の試行錯誤。


ラーヌ織りの特徴である

ヨコ糸を丁寧に打ち込む

大変な作業を経て


ついに完成した作品がこちらです。



朝日のやさしい色が

静かな深い海の色に

しっとりと溶け込んでいる具合は


合計8色もの糸を

絶妙な加減で織り混ぜていくことで

表現しました。


Aoiさんの作品を目にした

フィンランド人は

口を揃えてこのように言います。


『見てて気持ちの良い色ですね』



彼女が集めた、シアワセの瞬間。


それはどれも

北欧の自然の中で生み出された

「一瞬」でした。


瞬間から拾い集めた様々な色たちは

すべて自然のなかに存在する色。


なので、違和感のない

どこか懐かしさを感じるような

心地よい色合いの作品に

仕上がっています。



彼女のタペストリーに

丁寧に織り込まれた「瞬間」。


それは北欧の自然が生み出している

日々の暮らしの中での

小さな「シアワセ」でした。


彼女の織り成す一つ一つの作品には

北欧のシアワセストーリーが


ぎゅっと、優しく

織り込まれています。


そこで

「北欧のシアワセ、お届け計画」では


そんなシアワセの瞬間を捉えた

Aoiさんのタペストリーを、

日本で暮らすみなさんに

お贈りしたいと考えました。


全四話構成でお届けする物語


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